今日6月10日は時の記念日でもあるが、生涯を恋に生きた世紀の大作家宇野千代が亡くなった日でもある。享年98歳の大往生であった。宇野千代の人生観は、幸せの種が一杯入ったざるをもって枯れ木に登り、種を掴んではなげ掴んでは投げ枯れ木に幸福の花を咲かせると同時に、自分にも残った種を播いて、人様と一緒に自分も幸せになる。ということであった。生前宇野千代は自分のことを花咲婆とよび、死の直前まで必死で幸福の種を準備し播き続けることを実践した大作家であった。その生き様はこんにちのような自由奔放な時代でもなお、とうてい凡愚の及ぶところではないものの、その志の高さに少しでもあやかりマネごとをしたいものである。女史は桜が大好きで、一時樹勢の衰えた岐阜県根尾谷の薄墨桜の健康回復に並々ならぬ情熱を傾けたことでも知られている。 June 10, 2005
花咲婆-宇野千代 

花咲爺の落書帳